踊りと音

ダンサーのアツシさんとは何度かご一緒させていただいてますが、普段は言葉では「即興」や「セッション」といっても大半は決められた構成の中でソロのパートなどをアレンジしていくことが多く、なかなか「型」から抜け出せないものなのですが、アツシさんとのセッションは完全即興です。

リハーサルは本番直前の15分、音のチェックだけ。
その前にお茶でもして雑談しながら、静かに緊張の糸を張っていく。
自分の出るタイミングは本番が始まってから20分後くらいということだけ、なんとなくは決まっていますが、おそらくその時、その瞬間にアツシさんがどういう状況なのかは、きっと本人も分からないのだろうから内容を決めようもない。
なんとなく思っていた通りにくることもあれば、全く違う時もあって、それに対して冷静に空気を感じて、身体に染み込ませ、音を探していくという作業。

玉三郎さんに教えていただいた「感受」「浸透」「反応」というプロセスを色濃く感じられる瞬間。
自分で言うのも変ですが、踊りと太鼓でやっているそんな瞬間は、生々しく「人間」らしさが出るところも好きな要素。

「奏」一本勝負というのも面白く感じていて、もちろん大太鼓や太鼓セットなどを使って音色の幅を広げることも出来ますが、例えば最初は担ぎで入って、後半に大太鼓を叩くと言うような演出的な流れをどうしても作ってしまうので、あえて奏だけの方が束縛は少なく感じます。
昔より、奏だけでも色々な音が出せるようになったってことかなぁ。


The Fourceにしても現代散楽にしても、そういった自由さが、最近はとても楽しい。